残暑が厳しいですね~。
涼しい映画館や美術館に行くのが一番なのですが、そこまで辿り着くのがまた暑い!
でも気合を入れて行ってきました。
「ノベンバー」
11月に"死者の日"を迎えるエストニアの寒村が舞台のダーク・ラブストーリー。
農夫の娘リーナは青年ハンスに思いを寄せている。一方ハンスは領主のドイツ人の男爵のミステリアスな娘に恋い焦がれ悪魔と契約を結んでしまう・・・。(チラシより)
幻想映画特集としてのプログラムで前から気になっていたこの映画を。
2017年の作品だそうです。
以下ネタバレあり。
エストニアの映画なんてなかなか観る機会がないので予告編見て興味津々でした。
冒頭から美しいモノクロの映像。期待通り!と思っていたら・・・
え!? 何でしょう? と呆然。いきなり牛さんが訳の分からないものにさらわれます。
どうもエストニアの神話に登場する異形の怪物「クラット」で農機具などから作られてます。人間の傍で仕事をするのですが、はて役に立っているのかどうか。
悪魔と取引して魂を入れるそうです。
そして「死者の日」には普通に亡くなった家族が家に戻り、食事をしてサウナに入ったりする。そんな不思議なことが当たり前の村。
リーナは遠吠えをして狼と同化するし、ハンスは愚かで悪魔と契約。領主の娘は夢遊病。とにかく村人たちが貧しく、欲しいものを盗むのは日常茶飯事。
土着的で人間の欲やどうしようもなさを描きつつ、純粋さや美しさもあり。
ラブストーリーと言うことで、悲恋の切なさを感じさせる寓話的作品でした。
ハンスにアドバイスする雪だるま型のクラットが詩的で良いです。
あと、疫病が村に入ってくる表現も独特で面白いなと。
とにかく映像の美しさには目を見張りました!
水の場面がたくさん出てくるのはタルコフスキーオマージュかな。
パラジャーノフ作品にも通じる感覚がありました。
白と黒の画面でヒンヤリ感。
独特の世界観にどっぷり浸れましたよ。