エンパイア・オブ・ライト!

このところ観たい映画がありすぎて!

なかなか時間が合わなくて、見逃してしまいそうな・・・。

今回、ぜひとも映画館で観たい作品に行ってきました。

 

「エンパイア・オブ・ライト」

1980年代初頭のイギリスの静かな海辺の町、マーゲイト。辛い過去を経験し、今も心に闇を抱えるヒラリーは、地元で愛される映画館、エンパイア劇場で働いている。厳しい不況と社会不安の中、彼女の前に、夢を諦め映画館で働くことを決意した青年スティーヴンが現れる。職場に集まる仲間たちの優しさに守られながら、過酷な現実と人生の苦難に常に道を阻まれてきた彼らは、次第に心を通わせ始める。前向きに生きるスティ―ヴンとの出会いに、ヒラリーは生きる希望を見出していくのだが、時代の荒波は二人に想像もつかない試練を与えるのだった・・・。(映画館サイトより)

 

冒頭、職場である映画館に出勤したヒラリーが館内に灯りを次々と点けていく場面から既にグッと来てました。好きな雰囲気・・・。本当に撮り方が美しいのです。

そして時代は80年代。知っている映画がたくさん登場しました。想像していたストーリーとは違ってましたが、良い映画だったと思います。

 

以下、またネタバレあり。

 

 

海辺に佇む映画館と言うロケーションが最高。

劇場内もアールデコ調の素敵な内装。でも使われているのはスクリーン1と2のみ。

最上階のスクリーン3と4は、ボロボロに朽ちてます。

この時代って映画業界勢いがあった気がしますが、イギリスでは不況の波が押し寄せていたのですね。

ヒラリー演じるオリビア・コールマンが文句なしに巧いです。

新入りの若いスティーヴンに接していくうちに、お互いが惹かれあっていく。

廃墟のような最上階で傷ついたハトを二人が介抱している場面が優しい。

実は彼女は映画館支配人のエリスと不倫関係(というか、性的搾取されている状態。コリン・ファースが酷い役!)で、過去の辛い出来事もあり、精神が不安定。スティーヴンの方も人種差別に遭っていて、生きづらい二人が心を寄せていくのは理解できます。

ただ、ここまで恋人関係にしてしまわず、友愛で留められなかったかな~と。

もちろん愛があれば年齢は関係ないのですけど、母親ほど年が離れていたのでちょっとビックリでした。でも上司のエリスとの関係を撥ねつけるには、これくらい強い恋愛関係じゃないといけなかったのかもしれません。

 

寂れつつある映画館で久々の華々しいプレミアイベントが開催され(「炎のランナー」上映! 懐かしい!)、そこに精神的に不安定になったヒラリーが現れ、病院収容。

そして治療後職場復帰したと思ったら、今度はデモ隊の中の過激な若者が映画館に乱入してスティーヴンに暴行。凄まじい出来事が起きますが、それでも人生は続く・・・。

夢を抱く若いスティーヴンの背中を押したのはヒラリー。彼は新たな旅立ちへ。

映画館に勤めながらも映画を観ていなかった彼女に観ることを勧めるスティーヴン。

普段映写室に籠ってる技師がまた良い味を出してますね。

勤務時間外にヒラリーが何でもいいから映画を見せて!と頼みこみ、映写技師がスクリーンに映し出したのは・・・あー、ピーター・セラーズ!   これも懐かしい映画だわ!

多分、ここで自分もヒラリーのような表情になってたと(笑)

これから映画が彼女の人生を彩ってくれると、何だかホッとしました。

ビターな内容だけど、職場の同僚たちも温かく彼女を見守っているのがじんわり良かったです。

 

とにかく撮影が美しくて、色使いが本当にお洒落。詩や音楽も素敵でした。

いろいろな要素を詰め込み過ぎという感想もあるようで、確かにそうかも。

引っかかる部分はあったものの、時間がたつと場面場面がノスタルジックに蘇る映画のマジックで心に余韻を残してます。

80年代のフィルム映画が懐かしいとまたツボに嵌まりますね。

アカデミー賞のノミネートが撮影賞のみとは意外でした。