ムーミンと言うとアニメの影響で可愛らしい絵柄のファンタジックな世界というイメージがありますが、原作を読むとかなり違うんですよね。
以前、ムーミンの展覧会に行ったこともあり、原作者トーベ・ヤンソンに興味が湧きました。
映画化!と言うことで、やっとこちらに周ってきた映画を鑑賞。
「トーベ」
第二次世界大戦下のフィンランド・ヘルシンキ。激しい戦火の中、画家トーベ・ヤンソンは自分を慰めるように、不思議な「ムーミントロール」の物語を描き始める。
やがて戦争が終わると、彼女は爆撃でほとんど廃墟と化したアトリエを借り、本業である絵画制作に打ち込んでいくのだが、著名な彫刻家でもある厳格な父との軋轢、保守的な美術界との葛藤の中で満たされない日々を送っていた。それでも、若き芸術家たちとの目まぐるしいパーティーや恋愛、様々な経験を経て、自由を渇望するトーベの強い思いはムーミンの物語とともに大きく膨らんでゆく。
そんな中、彼女は舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと出会い激しい恋に落ちる。それはムーミンの物語、そしてトーベ自身の運命の歯車が大きく動き始めた瞬間だった。(公式サイトより)
展覧会に行ったとき、芸術一家に生まれ、元々絵画を志していたけど、ムーミンの物語を生み出し、そちらが人気となった・・・と言うような大まかな知識は得ていました。
今回の映画ではトーベの人との出会い、恋愛に重きを置いて描いてましたね。
以下、ネタバレします。
自由な心を持つトーベ、のっけから既婚者男性と仲良くなり、えっ?と思いましたが、当時の芸術界ではそれほど珍しいことではなかったのか、あまり悪びれる様子もなく、まさに心の赴くままに。
彼女の理解者でもあり気が合う男性アトス。彼と付き合いながら、新たに出会ってしまった上流階級の舞台演出家ヴィヴィカにすっかり心が傾いてしまいます。
このヴィヴィカがトーベ以上に自由で奔放!
まあそれだけ芸術家肌で魅力的なんでしょうね。当時、社会では同性愛には厳しかったから、なかなかのツワモノです。
境遇の違いに悪態をつき、次々浮気をされながらもヴィヴィカから離れることができず、執着してしまう。結局、トーベの「ムーミン」作品に目を付け、世に広めるきっかけを作ったのもヴィヴィカです。
ヴィヴィカとアトスとの間で揺れ動く心。
葛藤の末、新たな一歩を踏み出すという終わり方。
なるほど、ここでトゥーティッキ登場! ムーミン作品のキャラクター。
新たなパートナーとの出会いです。
そもそもムーミン作品はトーベの周りの人々がそれぞれモデルとなっているので、あ~、この人物が!と後で気づいたりしました。
なかなかトーベのことを認めてくれない彫刻家の父親との軋轢も、最後のエピソードでじんわりさせられました。もちろんムーミンパパのモデルだったのですね。
ほんわかしたムーミンのイメージで観ると、びっくりするかもしれません。
私は芸術家トーベの熱き想い、人生の出会いと別れとして、興味深く観ることが出来ました。