ノマドランド

「ミナリ」に続いてこちらも。

上映回数が減ってるので焦りました。

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ノマドランド」

企業の破たんと共に、長年住み慣れたネバダ州の住居も失ったファーンは、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、<現代のノマド遊牧民>として、季節労働の現場を渡り歩く。その日、その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく・・・。(映画チラシより)

 

 

(ネタバレあり)

キャンピングカーであちこち旅行に行く知人がいるのですが、話を聞くとなかなか楽しそうなのです。キャンピングカー仲間と知り合いになったりして、普通の旅行では味わえない時間を過ごしているんだろうなと。

でもそれはあくまでレジャーとしての旅。帰る家がある知人とは全く違うのがこの「ノマド」たち。ほとんどが高齢者。しかも仕事は肉体労働が多いですね・・・。

体力があり、よほどの覚悟がないと、この生活は厳しい。

 

ファーンを演じるフランシス・マクドーマンドがあまりにも自然にノマドとして生きていてはまり役です。

強固な意志のある逞しいファーンですが、時々見せる憂いや心の揺れまで、細やかに演じていて素晴らしい。

最初は住居近くから離れがたかったのに、アマゾン倉庫の仕事で知り合ったリンダ・メイからノマドの集会に誘われて参加したあたりから、どんどん変化していきます。

実際、アリゾナ州でのキャンピングカーが集まる大集会は定期的に開催され、人々の交流や情報交換の場となってるのですね。

提唱者のボブ・ウェルズと言う人、本人も出演しています。リンダ・メイやスワンキーと言った登場人物たちもノマド生活を送っているご本人ということを、映画のエンドクレジットで知りました。これはリアリティがあるはず。

ドキュメンタリーのようですが、美しい広大な風景が愁いを帯び、詩情溢れる画面が心に染み入るような。

厳しいアメリカの現実や格差を映し出しながら、そこに焦点を当てるのではなく、個々人の人生への考え方、選択の仕方そして哲学的なものも込められている気がしました。

身につまされつつ、ちょっと不思議な感覚がジワジワと後に残ります。

周りの人から一緒に住むことを提案されながら、結局自分の意志で道を選ぶファーン。

さよならの代わりに「いつかどこかでまた会おう」

切なさと清々しさを感じました。

 

映画館のワイドなスクリーンで観て良かったです!

大事なものだけを車に積んで、コンパクトに身一つで旅から旅へ。

自然と一体となるような描写が素敵で、ちょっと憧れもしますが、現実はやはり

難しいな(原作本ではかなり厳しく描かれているそうですね)

体力もないし、モノが捨てられない性分なので・・・

とはいえ、いずれはコンパクトにしないといけない、決めなくちゃいけない。

いろいろ身の振り方を考えさせられた映画でした。

 

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