SORRY WE MISSED YOU 

九州で大雨の災害が・・・と思っていたら、日本各地で豪雨。

梅雨のしとしと雨はもはや線状降水帯にとって変わり、

冠水、土砂崩れを引き起こす怖いものとなってしまいました。

年々エスカレートしているようで困ります。

今年はコロナもあるので、何かと大変。

早く落ち着いて欲しいです。

 

なかなかブログの更新が出来てないけど、アップしたいことはたくさん。

ちょっと前に、市内の小さな映画館で上映されていた「家族を想うとき」を観ました。

 

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以前観た「わたしは、ダニエル・ブレイク」のケン・ローチ監督。

社会派監督の鋭いまなざしはブレません。

覚悟して観ましたが、やはり辛いものがありますね。

 

舞台はイギリスのニューカッスルターナー家の父リッキーはフランチャイズの宅配ドライバーとして独立。母のアビーはパートタイムの介護福祉士として一日中働いている。家族を幸せにするはずの仕事が家族との時間を奪っていき、高校生の長男セブと小学生の娘のライザ・ジェーンは寂しい想いを募らせていく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう。

 

どこにでもいるような普通の家族。

父親は短気なところがあるものの、働き方はいたって真面目。

母親も仕事に誇りを持ち、とても優しい。

マイホームが欲しいという夢を叶えるのは家族のためを思えばこそ。

それがどんどんオーバーワークにつながり、過酷な状態から抜けられなくなるのは何とも皮肉です。

個人事業種とは名ばかりで、結局は人に使われ、便利であろう宅配用機器にも縛られ、

顧客からは理不尽な目に遭わされる。

映画「ジョーカー」なら、ここで爆誕するところ。

でも配達先で殴られてボロボロになっても、リッキーはジョーカーにはならない。

だからこそリアルで悲しい。

 

問題行動を起こしてしまう長男、心配する妹、みんな優しさを持っているのに家族が

壊れていく・・・。

訪問介護をしている母親アビーは過酷な仕事をこなしつつ、家族を繋ぎとめるべく尽力している。

担当しているお年寄りたちに対しても常に思いやりをもって接しているような彼女が

終盤リッキーの雇い主に対し、ついに爆発してしまう場面では「どうか自分を責めないで」と言う思いで見つめてしまいました。

 

原題の「SORRY WE MISSED YOU 」と言うのは宅配便の不在票の言葉。

これが効いてますね。

タイトルは原題のままの方が良かったような。

 

イギリスが舞台ですが、どこででもありうる話。もちろん身近なところでも。

ふと、これがコロナ危機の今の話ならば?と考えてしまいました。

両親ともにエッセンシャルワーカー。

感染の危険と隣り合わせで、ますます厳しい状況に違いありません。

なくてはならない仕事なのに身をすり減らして働いて低賃金。

家族の行く末を案じつつ、何とかならないものかとそればかり考えながら

観終わりました。

 

実際の宅配ドライバーがモデルだそうです。

働き方、社会のシステムを今一度真摯に考えないと。

ケン・ローチ監督の問題提起がずしんと来る作品です。